建築材料・施工分野 │ 琉球大学工学部環境建設工学科・建築コース/沖縄で建築学を学ぼう

建築材料・施工分野

接続可能な循環型社会のための建築材料の開発・設計

【研究概要】
 本研究室では、物理・化学の理論を用い、実験・調査、そしてコンピュータによるシュミレーションを武器に、今まで未解明、未開拓であった建築材料に関する以下の研究課題に挑んでいます。

  • 気象・環境条件を考慮した建築材料設計法の確立
  • コンクリートの中の物質移動を考慮した長寿命鉄筋コンクリート部材の設計法確立
  • 施工設計のための合理的なフレッシュコンクリートの流動構成式と流動シュミレーション法の確立
  • 持続可能な循環型社会を実現するための産業廃棄物の建築材料への有効利用

フレッシュコンクリートの流動構成則と数値流動解析法の確立 (計算建築材料学)

 近年、フレッシュコンクリートの流動特性評価を従来の経験則的技術から、体系化されたレオロジー理論に基づく技術に移行することが望まれています。
本研究室では、フレッシュコンクリートの流動特性を合理的に表す流動構成式を提案するとともに、自由表面問題と材料非線形問題を有するフレッシュコンクリートの流動解析法を提案しました。開発した流動構成式は、圧力依存性や履歴特性など、フレッシュコンクリートの有する特性を表すことができるものです。また、数値流動解析法については、差分法(FDM)や有限要素法(FEM)などを採用・検証し、その適用性について検討を重ねています。一例として、図-1にコンシステンシー試験として一般的なスランプ試験をコンピュータ上で再現した結果を示します。
さらに本研究室では、コンクリート調(配)合よりレオロジー定数を理論的に予測する手法の開発にも着手しています。写真-1は回転粘度計で、ペーストのレオロジー定数を測定することで提案手法の検証に役立てています。また,粒子(セメントおよび混和材)の凝集状態が流動特性に及ぼす影響についてもマイクロスコープによる画像処理法やレーザー回折・散乱法による測定等を用いて検討しています。(写真-2参照)。

図-1. スランプのFEMシミュレーション
図-1. スランプのFEMシミュレーション 

写真-1 回転粘度計
写真-1 回転粘度計

写真-2 凝集状態
a)凝集状態      b)分散状態

写真-2 凝集状態

塩害環境下における材料および構造物の耐久性評価に関する研究 (環境建築材料学)

 塩害劣化進行過程を予測して設計や補修・補強に役立てるためには、室内試験のみならず、屋外暴露試験を行い、環境データを含む基礎データを長期間分析する必要があります。そして、これら実験結果を基にして適切なモデルを作成し、コンピュータ上で未来状態についてシミュレーションを行う必要があります。
本研究室では、以下の写真・図に示すように①長期間の暴露試験とインターネットを利用した気象観測(Web気象観測)、②塩害環境を表すための飛来塩分シミュレーション、③コンクリート中での物質移動計算、④鉄筋腐食によるひび割れ進展シミュレーションを行っています。
当研究でモデル化された塩害環境とコンクリート中への塩化物イオン浸透との関係は、市販されている塩害関係のシミュレーションソフトにも利用されています。また,産業廃棄物を有効利用したコンクリートの耐久性についても研究しています(フライアッシュコンクリート,エコセメントを用いたコンクリート)。

写真-1 Web気象観測と長期暴露試験
写真-1 Web気象観測と長期暴露試験

図―1 飛来塩分量の計算結果  図ー2 塩分の浸透解析結果  図―3 ひび割れ進展の解析結果
図―1 飛来塩分量の計算結果  図ー2 塩分の浸透解析結果  図―3 ひび割れ進展の解析結果

図-4 コンピュータによる環境評価支援
図-4 コンピュータによる環境評価支援

昨年度(2009年度(平成21年度))の研究室の博士論文・修士論文・卒業論文

【博士論文】

  • (1)Vira SORN:フライアッシュを細骨材の一部として代替したコンクリートの遮塩性と防食性能に関する研究,2003.3

【修士論文】
(平成21年度)

  • (1)手登根 健:凝集構造に依存するセメントペーストのレオロジー特性に関する研究

【卒業論文】

  • (1)麻生裕梨恵:セメント粒子の凝集状態とセメントペーストのレオロジー特性に関する研究
  • (2)徳元一史 :鋼製建具と橋梁支承の耐食性に関する研究