建築構造・耐震分野 │ 琉球大学工学部環境建設工学科・建築コース/沖縄で建築学を学ぼう

建築構造・耐震分野

地震に強く、永持ちする建築構造物を目指して

【研究概要】
 本研究室では、建物の耐震補強法や地震被災直後の応急(緊急)補強法等について、大型試験体を用いた実験的研究を精力的に行っています。さらに、コンピュータシュミレーションで建物の弾塑性地震応答解析を行い、耐震性能を実験と解析の両面から照査して設計式を構築し、安全・安心な社会へ貢献できるよう以下の研究に日々取り組んでいます。


既存中低層RC造建築物の耐震補強・改修技術の研究開発

 1997年,本研究室は鉄筋コンクリート柱をPC鋼棒と鋼板で外部から能動的に横補強することで飛躍的に耐震性能を改善可能な補強法を提案しました。現在はこの補強法を発展させ,増設壁や枠付き鉄骨ブレースなどの耐震要素を既存RCフレームへ合理的に接合可能な合成接合法に関する研究開発を行っています。10年以上にわたり開発してきた一連の耐震補強技術を一刻も早く実用化し,普及を目指すことが本研究開発の目的です。優れた耐震補強技術を開発し実用化すれば,将来は国際貢献の一翼を担える可能性も考えられます。

単独RC柱の補強(1998)
単独RC柱の補強(1998)

腰壁付きRC柱の補強(2000)
腰壁付きRC柱の補強(2000)

ピロティ層の袖壁補強(2006)
ピロティ層の袖壁補強(2006)

枠付き鉄骨ブレースの合成補強(2009)
枠付き鉄骨ブレースの合成補強(2009)

地震被災直後の応急・緊急補強工法の技術開発

 建物の地震対策は,震前・震後対策に分けられます。地震で被災した建築物への応急または緊急補強法には,(1)緊急的な状況下で応急補強材料が容易に入手可能,(2)重機不要の乾式工法,(3)どんなサイズの柱にも適合可能,(4)簡便・迅速さ,という補強技術が求められます。本研究では補強材に緊張力を導入可能で,迅速かつ簡便なせん断損傷RC柱の応急・緊急補強技術の確立を目指し,ポリプロピレン繊維ベルトとラチェットバックルで構成されるラッシングベルト(荷締め具)で,型枠合板をせん断損傷RC柱の表面に圧着する補強技術の開発を行っています。

一定軸力下の正負繰返し加力装置一定軸力下の正負繰返し加力装置

緊急補強図緊急補強図

せん断損傷RC柱の緊急補強実験せん断損傷RC柱の緊急補強実験

海岸で自然暴露中の塩害損傷RC柱の弾塑性挙動に関する実験的研究

 本研究では,建物の長寿命化・循環型社会の形成へ貢献するため,火力発電所で産出される石炭灰(フライアッシュ)の混入の有無とコンクリート強度を実験変数とした,大型RC柱の自然暴露試験と(現在,沖縄の海岸で写真のように自然暴露中),その後の塩害損傷RC柱試験体の一定軸力下の正負繰返し水平加力実験により,耐久性能と耐震性能の相互関係の究明を目的とした研究を行っています。

自然暴露試験場
自然暴露試験場

自然暴露大型RC柱試験体の損傷調査
自然暴露大型RC柱試験体の損傷調査

暴露RC柱試験体の加力実験
暴露RC柱試験体の加力実験

研究室の博士論文・修士論文・卒業論文(修論・卒論は前年度のみ)

【博士論文】

  • (1)仲 鵬:An Experimental Study on Seismic Behavior of Hybrid RC Columns Utilizing Square Aramid Fiber Reinforced Polymer Tube,2001.3
  • (2)Kooroush NASROLLAHZADEH NESHELI:Seismic Retrofit of RC Columns by Use of Prestressed Aramid Fiber Belts as External Hoops –Experimental Investigation and Analytical Approach-,2002.9
  • (3)李 文聰:緊張力を導入したPC鋼棒を用いた腰壁付きRC柱の耐震補強設計法,2005.3
  • (4)Mehde BANAZADEH:Fiber Modeling Analysis for Cyclic Flexure/Shear Behavior of RC Columns –Analytical Formulation and Correlation Study-,2004.9
  • (5)宮城 敏明:緊張力を導入したPC鋼棒と鋼板を用いたせん断損傷RC柱の応急補強に関する研究,2005.9
  • (6)Md. Nafiur RAHMAN:An Innovative Seismic Retrofit Technique of Cast-in-site Thick Hybrid Infill Wall into RC Frame –Experimental Investigation and Analytical Approach-,2007.9
  • (7)中田 幸造(論文博士):外帯筋状に配置した高強度緊張材による能動および受動的横拘束効果を考慮したコンクリートの応力-ひずみ関係,2008.9
  • (8)高良 慎也:合成極厚無筋壁工法を応用した既存RC造耐震壁の耐震補強法に関する研究,2009.3
  • (9)Pasha JAVADI:Seismic Evaluation of Soft-First-Story RC Buildings Retrofitted by Thick Hybrid Wall Technique,2009.9

【修士論文】
(平成21年度)

  • (1)小林慎:合成接合法により枠付き鉄骨ブレース補強した1スパン1層フレームの実験的研究
  • (2)下地博子:1スパン1層RCフレームに間接接合法を用いた枠付き鉄骨K形ブレース補強の実験的研究
  • (3)那仁花:沖縄の海岸で5年間の自然暴露を経たフライアッシュ混合大型RC柱の耐久性能と耐震性能に関する実験的研究
  • (4)山城浩二:ポリスチレンフォームを用いた合成極厚無筋壁補強法のスリム化に関する実験的研究

【卒業論文】
(平成21年度)

  • (1)上原早奈恵:緊張PC鋼棒で能動的に外部横拘束されたRC柱のせん断強度に関する実験的研究
  • (2)奥村建成:合成極厚無筋壁補強法を適用した低強度RCフレームの水平加力実験
  • (3)並里弥生:正方形鋼管と緊張PC鋼棒で横補強した合成RC柱の耐震性能に関する研究
  • (4)西山美里:合成接合した枠付き鉄骨ブレース補強試験体の水平加力実験
  • (5)桃原茂樹:スリム化した合成極厚無筋壁の水平加力実験
  • (6)原口貴臣:緊張ラッシングベルトと型枠合板を利用したせん断損傷RC柱の緊急・応急補強実験